クレアパッソの「総合解説」のビジュアルガイドと、イタリアの料理雑誌やwebから、イタリア料理、イタリアワイン、イタリア旅行の面白い記事を紹介するブログ
2021年12月24日金曜日
春の組み合わせ、ヤギのチーズとアボカドのスプーマと桃のカクテル、ベッリーニ。
(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2020年4月号発売しました。
春の号のアペリティーボ1品目は、“アボカドとカプリーノのスプーマspuma di avocado e caprino”
アボカドとカプリーノの薄緑色のクリームに鮮やかな赤いドライトマト、ミックスナッツ、細く切ってトーストしたパン、さらにこの季節ならではのカクテル、ベッリーニbelliniを添えます。4月のディナーにふさわしい華やぎのあるスタート。
イタリアでも山羊のミルクの野性味が苦手な人は多かったようですが、現在では生産者はあらゆる過程を見直して、誰からも受け入れられるチーズに改良したそうです。
山羊は山の生き物。標高の高い北の山で飼育されている。
チーズの味の決め手は春なら野草。冬なら干し草。
一方ドライトマトは南ならではのもの。
南イタリアの太陽をたっぷり浴びて作られる。
ベッリーニは言うまでもなく、ベネチアのハリーズ・バーの名物カクテル。
洗練された都会的なイタリアの一面が凝縮した飲み物。
店の経営者一族の自伝的本、『ハリーズ・バー』によるとこのカクテルは、長い間桃が旬の7月にしか作らないカクテルだった。あの美しいバラ色はこの時期にしか出せなかったのだ。
プロセッコ・ディ・コネリアーノかスプマンテ・・3/4
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2021年12月23日木曜日
ウンブリアのパスタだけど、トスカーナのピチの仲間、ウンブリチェッリ。
今日の記憶に残るウンブリア料理はパスタです。
ウンブリアならではの名物パスタというと、“ウンブリチェッリumbricelli”というのがあります。
名前からしても、どう考えてもウンブリアのパスタですが、実は歴史的にはウンブリアとの結びつきは全然ない、と言われている乾麺のスパゲットーニです、とあります。
パスタメーカーがウンブリアっぽいとこの名をつけたらしいのですが、
どうやら歴史的にはピチpiciの仲間のようです。
ウンブリアのレストランではピチよりウンブリチェッリのほうが人気があったようで、今ではトリュフのシーズンにはノルチャの黒トリュフのウンブリチェッリがウンプリア料理としてすっかり有名になりました。
ウンブリチェッリumbricelli
材料/4人分
0番の小麦粉・・400g
水・・適量、塩
・小麦粉をフォンタナに盛り、水と塩を加えて10分こねてなめらかな締まった生地にする。
・布巾で覆って1時間休ませる。
・少量取って手で転がしながら伸ばし、太いスパゲッティ状にする。
黒トリュフを練り込んだ乾麺のパスタを使った料理。
ウンブリアの黒トリュフのパスタpasta al tartufo nero umbro
材料
黒トリュフ
上質のEVオリーブオイル
にんにく
セモリナ粉のパスタ(ピチ、チリオーレ、ストロッツァプレーティなどに似たパスタ)
・トリュフを細かい目ですりおろす。
・パスタをゆでる。
・フライパンにたっぷりのオリーブオイルとにんにく2かけを熱し、オイルをトリュフにかける。
・ゆで上がったパスタを加えてあえる。
白トリュフ料理のタヤリンやフェットッチーネもトリュフによく合うけど、ピエモンテやアルバ色やが濃すぎるのが欠点。
定期購読いただいている(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2020年4月号、本日発送します。郵便物の配達日数がこれまでより若干かかるようになっています。ご了承ください。お問い合わせはいつでもどうぞ。
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2021年12月22日水曜日
ウンブリアのネロ・プレジャートとオリーブオイル。
ペルージャの記憶に残る料理、その3はトリュフのパスタです。
トリュフ入りフリッタータ
クロスティーニにもフリッタータにも欠かせないのが市販のトリュフペースト。
初めて食べたトリュフのパスタは、トリュフ風味のオイルを垂らしただけのシンプルなものでしたが、その時以来、その香りは忘れられないものになりました。
帰国後にさっそくトリュフオイルを買い込み、パスタを再現してしばらくトリュフにハマっていました。
ペルージャでトリュフといえば、黒。ウンブリアは黒トリュフの王国です。
中心地はノルチャNorciaやヴァルネリーナValnerina。
黒トリュフの旬は1〜2月。11月頃から上質のものが出回りだすそうです。
イタリアの黒トリュフは、フランスでペリゴールと呼ばれるタルトゥーフォ・ネロ・プレジャート、タルトゥーフォ・ネロ・エスティーボ、別名スコルゾーネなどがあります。
ネロ・プレジャート発見。
白トリュフは栽培できないので天然物しかありませんが、黒トリュフは栽培が可能。そのため値段も白より手頃。
ノルチャ風スパゲッティやフリッタータ、ステーキ、マスや子羊料理といった伝統料理だけでなく、トリュフのペーストと上質のウンブリア産オイルのクロスティーニはレストランの人気の1品。
そうそう、ウンブリアは上質オリーブオイルの産地でした。
ウンブリアのオリーブの収穫
トリュフとオリーブオイルの共演、トリュフのクロスティーニ
瓶詰めのトリュフで作るトリュフのソースsalsa al tartufo nero。
(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2020年4月号は近日中に発売予定です。
材料
黒トリュフ・・25g
上質のEVオリーブオイル・・大さじ2.5、塩
・トリュフをシートに取って水気を切り、乾かす。
・トリュフをすりおろす。目の間にはさまったものも全部集める。
・トリュフにオリーブオイルと塩を加えて混ぜる。
・密閉ビンに入れて表面をオイルで薄く覆って保存する。
次回は黒トリュフのパスタのリチェッタです。
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2021年12月21日火曜日
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今日のお題はペルージャの美味しいもの、その2。
アリッチャのポルケッタ
『ストリートフード・アッラ・イタリアーナ』
にアリッチャのポルケッタPorchetta di Aricciaのリチェッタがあったので訳してみます。
ポルケッタです。
ポルケッタporchettaはイタリア中部の代表的名物料理で、ウンブリア、ラツィオ、マルケ、アブルッツォあたりが本家に立候補しています。
イタリアでは、古代ローマ時代にはすでに豚の飼育が広まっていました。なので、エミリア・ロマーニャやベネトにもポルケッタは広まっていました。
やがて、イタリアを代表するストリートフードとみなされるまでになります。
ポルケッタは小型の若い豚や野生の豚の内蔵を取って調味し、丸ごとを縛って薪で串焼きにする、またはオーブンでじっくり焼くローストです。
外側はこんがりとカリカリで肉は柔らかくてジューシーで風味豊か。
このローストをスライスしてセコンド・ピアットとしてサーブしたりパニーノの具にします。
焼き立てが美味ししいので、焼いたその日に地元の赤ワインを添えていただきます。
ペルージャなど中部イタリアの各地では、8月の末などに伝統のポルケッタ祭りが開催されます。
コッレダーラcolledara(アブルッツォ)のポルケッタ祭り
初めて食べるとその美味しさに衝撃を受けて一生記憶に残るので、なるべく美味しいのを食べてほしいなあ、と思います。美味しさのポイントはやっぱり豚肉。
ローマのカステッリ・ロマーニ地方のアリッチャAricciaもポルケッタの伝統で知られる街。
ポルケッタは古代ローマのジュピター神殿の生贄の豚の伝統から生まれた料理と語り継がれています。生贄の信仰が伝えられていたカーボ山のジュピター神殿の遺跡。
あるいはアリッチャが貴族の避暑地だったことから、貴族の狩りの獲物を美味しく食べる料理を領民が考え出して子孫たちに代々伝えたという説もある。
アリッチャのポルケッタは柔らかくて風味が豊かな雌豚(ポルケッタは女性名詞)から造られる。
香ばしく焼けた表面、柔らかい肉のローズマリー、こしょう、にんにくの香りが特徴。
アリッチャのポルケッタ祭り↓
にアリッチャのポルケッタPorchetta di Aricciaのリチェッタがあったので訳してみます。
材料/8〜10人分
下処理した乳飲みの子豚・・1頭(約3kg)
白か赤ワイン・・500ml
フィノッキエット・セルバティコ・・80g
ローズマリー・・3枝
皮むきにんにく・・5かけ
ナツメグ・・1個
粗挽きこしょう・・10〜15g
塩・・10g
・にんにく、フィノッキエット、ローズマリーの葉をみじん切りにして塩、たっぷりのこしょう、ナツメグを加える。
・中と骨を取った豚肉を洗って水気を拭き取る。
・作業台に広げて内側にハーブを均一にまぶす。
・棒か串をまっすぐに通し、余分な筋を切り落とす。皮に脂の出口用の小さな包丁目をつける。糸で縛る。
・大鍋の縁に棒を渡してのせ、180℃のオーブンで裏返しながら最低3時間焼く。最初はワインをかけ、次第に焼き汁を塗りながら焼く。
・皮がこんがり琥珀色に焼けたらオーブンから出してテーブルに丸ごと運ぶ。
・スライスして焼き汁をかけてサーブする。
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2021年12月20日月曜日
ペルージャの名物バーチは手作りするとめちゃかわいい。
今日は(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2020年2月号から、
ヨーロッパ最大のチョコレートのイベント、ユーロチョコレート
バーチ・ペルジーナbaci Pergina
ウンブリアの州都ペルージャのグルメガイドです。
ペルージャの名物はオイル、ワイン、チョコレート、生パスタ、トリュフなど。
トリュフが採れて上質のオリーブオイルができ、地元のカンティーナからは上質のワインが造り出され、チョコレートのイベント、ユーロチョコレートの開催地という、なかなかなグルメな街です。街の中心部はマッジョーレの噴水がある11月4日広場、メインストリートは広場へと続くバンヌッチ通り。
バンヌッチ通りCorso Vannucci
この通りには、ペルージャで一番有名で重要なもの、チョコレートメーカー、ペルジーナのフラッグショップ、カーサ・ディ・チョッコラートがあります。
さらに。ペルージャ市民の憩いのカフェ、老舗のパスティッチェリーア・サンドリも。
ペルジーナはネスレの傘下で、ペルジーナの製品は、空港でお土産に買うバーチしか知らないのですが、キットカットも作っているそうです。
バーチは1922年生まれで、今でも当時と同じリチェッタで、上質のカカオとジャンドゥイヤで造られています。
ドルチェ&ガッバーナと提携したリミテッド・エディション。
超かわいい手作りバーチ。
バーチ・ペルジーナbaci Pergina
材料/8個分
バター・・10g
ミルクチョコレート・・50g
ヘーゼルナッツクリーム・・50g
刻みヘーゼルナッツ・・50g
ホールヘーゼルナッツ・・8粒
ビターチョコレート・・100g
・バター10g、ミルクチョコレート50gを湯煎にかけて溶かす。
・ヘーゼルナッツクリームと刻みヘーゼルナッツを加える。
・冷凍庫で15分冷やす。
・少量ずつ丸めてオーブンシートに並べる。
・てっぺんに丸ごとのヘーゼルナッツを載せて軽く埋め込む。
・冷凍庫で30分冷やす。
・ビターチョコレートを湯煎にかけて溶かす。
・ヘーゼルナッツをのせたバーチをチョコレートでコーティングする。
・オーブンシートに並べて冷蔵庫で乾かす。
手作りのバーチは思ってたよりかなり簡単。しかも名前がバーチって・・・。
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2021年12月19日日曜日
エミリア・ロマーニャ地方のシンボル、金色のワイン、アルバーナは白のドレスを着た赤とも言われる。
今日は(CIR)3月号からワインのお題です。
エミリア・ロマーニャの街、リミニが誇る名物は、ピアディーナとフェリーニ監督、ワインはサンジョベーゼとアルバーナ↓
帽子の花がトレードマークのリミニのピアディーナの人気店、デッラ・レッラ。
ワインはアルバーナalbana。
アルバーナ・ディ・ロマーニャと言ったほうがピンとくるかも。
エミリア・ロマーニャ地方の上質白ワインです。
エミリア・ロマーニャの象徴的ワインです。アルバーナという名前はラテン語で白という意味だそうですが、このワインの色は、白というより金色と形容されます。
そもそも、紀元400年頃にこのワインを飲んだ皇帝の娘が、このワインにはテラコッタの盃(当時はテラコッタのカップでワインを飲むのが一般的だった)より金の盃が相応しい、と言ったという逸話が長年語り継がれています。
それにぶどう自体も琥珀黄金色をしています。
アルバーナは糖度の高い(アルコール度の高いワインになる)ぶどうで、収穫の時期によって辛口ワイン、甘口ワイン、さらにはパッシートになる(貴腐のカビは収穫の最終段階のまだぶどうが樹についている間に、日中は暑くて湿度が高く、夜に気温が突然大幅に下がるなどの特殊な条件が整うと生える)。皮にはタンニンが多く含まれているので組織のあるワインになり、白のドレスをまとった赤ワインとも形容される。
白ワインはぶどうをソフトに圧搾して皮とモストを分離して醸造する。この方法だと少量の果肉からも汁が取れ、皮からタンニンがモストに移るのを防ぐことができる。
ソフトな圧搾の白ワインからは海の幸に合うドライでボディーのある白ワインができるので、マイルドな野菜の前菜にも合う。
パッシート用のアルバーナ
webページ
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2021年12月18日土曜日
ニコ・ロミートシェフのカペッリーニはイタリアのアルタ・クチーナの常識を打ち破って家庭にまで広まった。
(CIR)3月号の記事“新作パスタ”は、「ニコ・ロミートシェフがカステル・ディ・サングロのリストランテ・レアーレのメニューに、Capellini laccati ar porriを載せたのは2009年だった。」
という一文で始まります。
ニコ・ロミートシェフは、アブルッツォのカステル・ディ・サングエの3つ星リストランテ、レアーレのシェフで、この店は世界のベストレストラン50にも選ばれていて、彼は今やイタリアを代表するシェフの一人です。
レアーレ↓
バリバリ・アバンギャルドな最先端に立っているシェフということはこの動画だけでもよくわかります。極限までシンプルな料理に思考をぎゅぎゅぎゅっと詰めているのが彼の料理。見た目のシンプルさが一口食べると大きく裏切られて、おっとこれは!と目を見開くことになります。
問題は、動画の彼も食べているカペッリーニ。
当時のイタリアで、パスタは安くてお手軽な食材の代表で、高級レストランでだす料理ではない、と思われていました。
彼はこの常識を打ち破りました。
そして質素でシンプルな食材を使った料理が彼のスタイルとなります。
初めて作ったのは一人のシェフでしたが、これが家庭にまで広まってトレンドになり、シェフのクリエイティビティが発揮されたパスタは大流行したのです。
天才シェフたちのこのような発想が、パスタの世界と可能性を広げました。
そんなシェフたちのパスタを集めた本が『折り畳みできる軽量携帯シューズ スリッパ 携帯 Lサイズ 24.5~25.5cm 専用ケース付 レプリエ スイート 花 ( 送料無料 ルームシューズ 携帯スリッパ 携帯シューズ シューズ 折りたたみ おしゃれ フラワー 滑り止め レディース 白 学校 入学式 卒業式 大きめ サイズ )【3980円以上送料無料】』です。
この本にはロミートシェフのパスタのリチェッタも紹介されています。
“バッカラとトマトのスパゲットーネ・マンテカート”です。
この料理は、日常的な食材をご馳走に変える、という彼の本領が発揮されています。
バッカラは、イタリアでは魚の中でも最も大衆的な魚で、海から遠く離れた地方でも手に入る魚です。
パスタはデンプンを利用し(デンプンを利用できるのは低温で長時間乾燥させるアルティジャナーレのグラニャーノのパスタならでは)、トマトの強い酸味を利用したエレガントでミニマリスト的料理。
ニーコ・ロミートシェフのバッカラマンテカート・パプリカ・じゃがいものグラニャーノのパスタ↓。
ペーストは色が黒くならないように氷を加えて撹拌するのがポイント。さらに仕上げにオリーブオイルを加えて乳化させてソースをクリーミーにする。
グラニャーノのパスタはゆで汁にデンプンが溶け出るのでペーストを加えてマンテカーレするとさらにクリーミーに仕上がる。
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